当ページは、労災保険法における「障害に関する保険給付」について、とても簡潔に分かりやすく説明しています。
- 労災保険法における「障害に関する保険給付」についての、初歩的な知識が欲しい方
- 社会保険労務士に興味がある方
- 社労士試験に向けて、独学で勉強を始める方
基本中の基本のことをまとめているので、ぜひ、参考にしてみてください。
目次
「労災保険法」とは?
まず、「労災保険法」とは何か、簡単にご説明します。
「労災保険法」とは、
業務中または通勤中に、労働者がケガをしたり、病気になったり、障害状態になったり、死亡したりしたとき等に、
被災労働者またはその遺族に対して、保険給付を行うことを主たる目的とした法律です。
正式名称は、「労働者災害補償保険法」といいます。
昭和22年(1947年)に、労働基準法と同時に制定されました。
ちなみに、保険給付を受ける権利のことを、「受給権」といいます。
また、「受給権」をもつ者(保険給付の対象者)を、「受給権者」といいます。
「障害に関する保険給付」の種類
続いて、「障害に関する保険給付」の種類について、簡単にご説明します。
>労災保険法における「保険給付の種類」は?超簡単まとめ【初心者向け】
業務上の事由または通勤による傷病が治ったものの、身体に一定の障害が残ってしまった場合、「障害(補償)給付」が支給されます。
「障害(補償)給付」は、大きく、以下の2種類に分けられます。
- 障害(補償)年金
- 障害(補償)一時金
それぞれについて、もう少し細かく、ご説明していきます。
「障害(補償)年金」とは?
「障害(補償)年金」とは、
業務上の事由または通勤により、労働者に、重い障害(障害等級第1級~第7級)が残ってしまった場合に、支給されるものです。
障害の程度(第1級~第7級)に応じて、1年につき、以下の額が、年金として支給されます。
第1級 | 給付基礎日額の313日分 |
第2級 | 給付基礎日額の277日分 |
第3級 | 給付基礎日額の245日分 |
第4級 | 給付基礎日額の213日分 |
第5級 | 給付基礎日額の184日分 |
第6級 | 給付基礎日額の156日分 |
第7級 | 給付基礎日額の131日分 |
その算定の基礎には、「給付基礎日額」というものが使用されます。
※平均賃金の求め方 ⇒ 過去3ヵ月間の賃金の総額 ÷ その期間の総日数
>労働基準法における「賃金」とは?超簡単まとめ【初心者向け】
「障害(補償)年金前払一時金」とは?
また、将来受けるべき「障害(補償)年金」の一部を、一時金として、前もって受けることができる制度があります。
この一時金を、「障害(補償)年金前払一時金」といいます。
一時的にまとまった資金が必要な受給権者も、数多くいるため、このような制度があるんですね。
「障害(補償)年金前払一時金」として請求できる額は、障害の等級に応じて、以下のように決められています。
第1級 | 給付基礎日額の200・400・600・800・1,000・1,200・1,340日分 |
第2級 | 給付基礎日額の200・400・600・800・1,000・1,190日分 |
第3級 | 給付基礎日額の200・400・600・800・1,000・1,050日分 |
第4級 | 給付基礎日額の200・400・600・800・920日分 |
第5級 | 給付基礎日額の200・400・600・790日分 |
第6級 | 給付基礎日額の200・400・600・670日分 |
第7級 | 給付基礎日額の200・400・560日分 |
例えば、障害等級7級の場合、
最低で給付基礎日額の200日分から、最高で560日分までの額を選択して、請求することができます。
障害等級1級の場合、
最低で給付基礎日額の200日分から、最高で1,340日分までの額を選択して、受給することができます。
「障害(補償)年金差額一時金」とは?
「障害(補償)年金」の受給権者が、早期に死亡した場合、
以下の差額を、次表の遺族のうち、最先順位の者に支給することになります。
- 「障害(補償)年金前払一時金」の、障害等級に応じた最高限度額
- 死亡するまでに受給した額
これを、「障害(補償)年金差額一時金」といいます。
1 | 労働者の死亡の当時、その者と生計を同じくしていた | 配偶者 |
2 | 子 | |
3 | 父母 | |
4 | 孫 | |
5 | 祖父母 | |
6 | 兄弟姉妹 | |
7 | 労働者の死亡の当時、その者と生計を同じくしていなかった | 配偶者 |
8 | 子 | |
9 | 父母 | |
10 | 孫 | |
11 | 祖父母 | |
12 | 兄弟姉妹 |
例えば、障害等級第1級の「障害(補償)年金」の受給権者であった夫が、給付基礎日額の800日分しか受給していない段階で、死亡してしまった場合を考えます。
夫と生計を同じくしていた妻がいれば、その妻に、給付基礎日額の540日分(1,340-800)が支給されます。
「障害(補償)一時金」とは?
「障害(補償)一時金」とは、
業務上の事由または通勤により、労働者に、比較的軽い障害(障害等級第8級~第14級)が残ってしまった場合に、支給されるものです。
先ほどまでにご説明した、以下の給付は、年金として(年金を一時金として)受給するものです。
- 障害(補償)年金
- 〈障害(補償)年金前払一時金〉
- 〈障害(補償)年金差額一時金〉
一方で、「障害(補償)一時金」は、年金として支給されるものではありません。
障害の程度(第8級~第14級)に応じて、以下の額が、一時金として支給されます。
第8級 | 給付基礎日額の503日分 |
第9級 | 給付基礎日額の391日分 |
第10級 | 給付基礎日額の302日分 |
第11級 | 給付基礎日額の223日分 |
第12級 | 給付基礎日額の156日分 |
第13級 | 給付基礎日額の101日分 |
第14級 | 給付基礎日額の56日分 |
まとめ
いかがでしたか?
労災保険法における「障害に関する保険給付」について、簡単にご説明しました。
もっと詳しく知りたい方や、社労士の勉強をしている方は、
各項目の、さらに細かな内容に触れていってくださいね!
- 労災保険法における「障害に関する保険給付」についての、初歩的な知識が欲しい方
- 社会保険労務士に興味がある方
- 社労士試験に向けて、独学で勉強を始める方
当ページが、皆さんの生活や学習の一助になれば幸いです。