労災保険法における「死亡に関する保険給付」とは?超簡単まとめ【初心者向け】

当ページは、労災保険法における「死亡に関する保険給付」について、とても簡潔に分かりやすく説明しています。

  • 労災保険法における「死亡に関する保険給付」についての、初歩的な知識が欲しい方
  • 社会保険労務士に興味がある方
  • 社労士試験に向けて、独学で勉強を始める方

基本中の基本のことをまとめているので、ぜひ、参考にしてみてください。

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「労災保険法」とは?

まず、「労災保険法」とは何か、簡単にご説明します。

「労災保険法」とは、

業務中または通勤中に、労働者がケガをしたり、病気になったり、障害状態になったり、死亡したりしたとき等に、

被災労働者またはその遺族に対して、保険給付を行うことを主たる目的とした法律です。

正式名称は、「労働者災害補償保険法」といいます。

昭和22年(1947年)に、労働基準法と同時に制定されました。

ちなみに、保険給付を受ける権利のことを、「受給権」といいます。

また、「受給権」をもつ者(保険給付の対象者)を、「受給権者」といいます。

「死亡に関する保険給付」の種類

続いて、「死亡に関する保険給付」の種類について、簡単にご説明します。

労災保険法全体の「保険給付の種類」に関してはコチラ
労災保険法における「保険給付の種類」は?超簡単まとめ【初心者向け】

業務上の事由または通勤により、労働者が死亡した場合

遺族に対して、「遺族(補償)給付」が支給されます。

「遺族(補償)給付」は、大きく、以下の2種類に分けられます。

  • 遺族(補償)年金
  • 遺族(補償)一時金

また、業務上の事由または通勤により、労働者が死亡した場合

葬祭を行う者に対して、「葬祭料(葬祭給付)」も支給されます。

それぞれについて、もう少し細かく、ご説明していきます。

「遺族(補償)年金」とは?

遺族(補償)年金」とは、

業務上の事由または通勤により、労働者が死亡したとき

その死亡した労働者によって生計を維持していた遺族に対して、生活保障のために支給されるものです。

そのため、すべての遺族が受給できるのではなく、一定の範囲の者に限られます。

具体的には、下表の条件を満たす遺族が「受給資格者」となり、その内、最先順位の者が「受給権者」として、支給を受けることになります。

1
60歳以上、または障害の状態にあること
2 18歳の到達年度内(18歳に達する日以後の、最初の3月31日まで)にある、または障害の状態にあること
3 父母 60歳以上、または障害の状態にあること
4 18歳の到達年度内にある、または障害の状態にあること
5 祖父母 60歳以上、または障害の状態にあること
6 兄弟姉妹 18歳の到達年度内ある、または60歳以上、または障害の状態にあること
7 55歳以上60歳未満で、障害の状態にないこと
8 父母
9 祖父母
10 兄弟姉妹

例えば、夫が死亡してしまった場合を考えます。

死亡労働者の夫に生計を維持されていた妻がいた場合、その妻が「受給権者」となり、「遺族(補償)年金」を受給します。

また、そのような妻がおらず、高校生の子供がいた場合には、その子供が「受給権者」となり、「遺族(補償)年金」が支給されます。

支給額について

受給権者及びその受給権者と生計を同じくしている前表1~6の受給資格者の数に応じて、1年につき、以下の額が、年金として支給されます。

  • 1人 … 給付基礎日額の153日分
    (55歳以上の妻、または障害の状態にある妻は、175日分)
  • 2人 … 給付基礎日額の201日分
  • 3人 … 給付基礎日額の223日分
  • 4人 … 給付基礎日額の245日分

労災保険法における保険給付について決定するとき、
その算定の基礎には、「給付基礎日額」というものが使用されます。
「給付基礎日額」は、基本的には、労働基準法の「平均賃金」と同様の求め方をします。
※平均賃金の求め方 ⇒ 過去3ヵ月間の賃金の総額 ÷ その期間の総日数
労働基準法における「賃金」とは?超簡単まとめ【初心者向け】

「遺族(補償)年金前払一時金」とは?

また、将来受けるべき「遺族(補償)年金」の一部を、一時金として、前もって受けることができる制度があります。

この一時金を、「遺族(補償)年金前払一時金」といいます。

被災労働者が死亡してしまった場合、一時的な出費がかさむことが多いため、このような制度が設けられています。

給付基礎日額の200・400・600・800・1,000日分のいずれかを選択して、前もって受給することができます。

「遺族(補償)一時金」とは?

遺族(補償)一時金」とは、

業務上の事由または通勤により、労働者が死亡した場合であり

「遺族(補償)年金」を受けることができる遺族いない、又はいなくなった場合に、支給されるものです。

労働者の死亡の当時に、「遺族(補償)年金」の受給資格者がいないため、最初から誰も「遺族(補償)年金」を受けられない場合に、

次表の遺族のうち、最先順位の者に、給付基礎日額の1,000日分が支給されます。

1 配偶者
2 労働者の死亡の当時、その収入によって、生計を維持していた
3 父母
4
5 祖父母
6 労働者の死亡の当時、その収入によって、生計を維持していなかった
7 父母
8
9 祖父母
10 兄弟姉妹

また、遺族が「遺族(補償)年金」を受けていたとしても、途中で、すべての受給権者が受給権を失う場合があります。

その場合には、以下の差額が、その遺族に支給されます。

  • それまでに支払われた「遺族(補償)年金」の額
  • 給付基礎日額の1,000日分

「葬祭料(葬祭給付)」とは?

最後に、「葬祭料(葬祭給付)」について、簡単にご説明します。

「葬祭料(葬祭給付)」とは、

業務上の事由または通勤により、労働者が死亡した場合

葬祭を行う者に対して支給されるものです。

「葬祭を行う者」とは、一般的には遺族のことを指します。

葬祭を行う遺族がいない場合に、社葬(会社における葬祭)を行うときは、その会社が「葬祭を行う者」になります。

支給額について

「葬祭料(葬祭給付)」の額は、

原則的に、315,000円 + 給付基礎日額の30日分です。

ただし、その額が、給付基礎日額の60日分に満たない場合には、給付基礎日額の60日分が、支給額になります。

まとめ

いかがでしたか?

労災保険法における「死亡に関する保険給付」について、簡単にご説明しました。

もっと詳しく知りたい方や、社労士の勉強をしている方は、

各項目の、さらに細かな内容に触れていってくださいね!

  • 労災保険法における「死亡に関する保険給付」についての、初歩的な知識が欲しい方
  • 社会保険労務士に興味がある方
  • 社労士試験に向けて、独学で勉強を始める方

当ページが、皆さんの生活や学習の一助になれば幸いです。

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