当ページは、労働基準法における「賃金」について、とても簡潔に分かりやすくご説明しています。
- 労働基準法の「賃金」に関する、初歩的な知識が欲しい方
- 社会保険労務士に興味がある方
- 社労士試験に向けて、独学で勉強を始める方
基本中の基本のことをまとめているので、ぜひ、参考にしてみてください!
目次
「賃金」とは?
それでは、まず、労働基準法における「賃金」の定義について、ご説明します。
労働基準法において、「賃金」とは、
労働の対価・対償として、使用者が労働者に支払うもののことです。
(労働基準法第10条より)
(労働基準法第9条より)
※もうちょっと分かりやすく知りたい方はコチラを!
>労働基準法とは何か簡単にご説明!まずは総則を知ろう!【初心者向け】
(使用者と労働者についても、簡単に解説しています)
“労働の対価・対償として”という部分がポイントです。
給料や手当、賞与など、労働の対価・対償として支払うものは、すべて「賃金」に含まれます。
しかし、実費弁償として支払われる旅費は、使用者が労働者に支払うものですが、「賃金」には含まれません。
実費弁償として支払われるものであり、労働の対価・対償として支払われているものではないからです。
「平均賃金」とは?
次に、労働基準法における「平均賃金」について、簡単にご説明します。
「平均賃金」とは、
過去3ヵ月間の賃金の総額を、その期間の総日数で割ったものです。
よく使われる言葉ですが、「日当」という言い方もできますね。
使用者が労働者に諸手当を支払う状況が、労働基準法において、多々あります。
その場合に、算定の基礎として、この「平均賃金」が使用されることが多いです。
これから社労士等の勉強をされる方は、たくさんの場面で、「平均賃金」が出てきますので、必ず覚えておいてくださいね!
「賃金支払5原則」とは?
続いて、「賃金支払5原則」について、簡単にご説明します。
「賃金」は、以下にご紹介する5つの原則を守った上で、支払われなければなりません。
自由に、個人の思うような形で、「賃金」を支払うことはできないわけです。
①通貨払の原則
賃金は、「通貨」によって支払わなければなりません。
しかし、例外として、労働協約に定めている場合は、通貨以外のもので支払うことが可能です。
例えば、電車の通勤定期券などの、現物給与で支払うことができるんですね!
また、労働者の同意を得た上で、「預金口座への振り込み」という形で、賃金を支払うことができます。
②直接払の原則
賃金は、「直接」労働者に支払わなければなりません。
もちろん、例外もあります。
例えば、労働者が、病気やケガで、直接賃金を受け取れないような場合、
その労働者の妻や子ども(使者と言います)に、賃金を支払うことができます。
③全額払の原則
賃金は、「全額」を支払わなければなりません。
当たり前と言えば、当たり前ですね。
もちろん、法令に基づく、所得税や地方税などの源泉徴収、社会保険料の源泉控除などは、話が別です。
また、労使協定が定められている場合は、賃金の一部を控除して、支払うことが可能です。
例えば、社宅費を差し引いて、賃金の支払いをすることができます。
④毎月1回以上払の原則
賃金は、「毎月1回以上」支払わなければなりません。
これは、知らなかった方もいるのではないでしょうか?
年俸制であっても、毎月1回以上は、賃金を支払わないといけないんですね。
ただし、臨時に支払われる賃金(退職金や私傷病手当など)や、賞与に関しては、「毎月1回以上払の原則」は適用されません。
⑤一定期日払の原則
賃金は、「一定の期日」を定めて支払わなければなりません。
多くの会社は、毎月の15日や25日に定めていますね!
「一定期日払の原則」も、臨時に支払われる賃金(退職金や私傷病手当など)や、賞与に関しては、適用されません。
「非常時払」とは?
続いて、「非常時払」について、簡単にご説明します。
労働者やその家族に、出費がかさむ非常事態が発生し、労働者から請求があった場合、
使用者は、所定の賃金支払日より前であっても、既に働いた分の賃金を支払わなければいけません。
「出費がかさむ非常事態」というのは、下記のようなものがあります。
- 出産
- 疾病
- 災害
- 結婚
- 死亡
- やむを得ない事由による1週間以上の帰郷
また、既に働いた分に対する賃金を支払うのであって、
まだ働いていない分に対する賃金は、支払う必要はありません。
「休業手当」とは?
最後に、「休業手当」について、簡単にご説明します。
受注量が減った等の理由で、会社が一時休業になったとします。
その場合、本来、働いて、貰えるはずだったお給料が、
働けなかったことで、貰えないことになってしまいますね。
そのような時に、「休業手当」というものが登場します。
使用者の責に帰すべき事由により休業が発生した場合、
使用者は、労働者の休業1日につき、平均賃金の60%以上の手当を支払わなければいけません。
これを「休業手当」と言います。
ただし、使用者の責に帰すべき事由により休業が発生した場合に限ります。
まとめ
いかがでしたか?
労働基準法における「賃金」について、簡単にご説明しました。
もっと詳しく知りたい方や、社労士の勉強をしている方は、
各項目の、さらに細かな内容に触れていってくださいね!
- 労働基準法の「賃金」に関する、初歩的な知識が欲しい方
- 社会保険労務士に興味がある方
- 社労士試験に向けて、独学で勉強を始める方
当ページが、皆さんの生活や学習の一助になれば幸いです。