当ページは、労働基準法における「労働契約」について、とても簡潔に分かりやすく説明しています。
- 労働基準法の「労働契約」に関する、初歩的な知識が欲しい方
- 社会保険労務士に興味がある方
- 社労士試験に向けて、独学で勉強を始める方
基本中の基本のことをまとめているので、ぜひ、参考にしてみてください!
「労働契約」とは?
では、まずは「労働契約」とは何か、簡単にご説明します。
「労働契約」とは、
労働者が使用者に「労働」を提供し、使用者がその「労働」に対して「賃金」を支払うことを約束するものです。
(それぞれ、労働基準法第10条、第9条より抜粋)
もうちょっと分かりやすく知りたい方はコチラを!
使用者と労働者の説明も掲載しています!
>>労働基準法とは何か簡単にご説明!まずは総則を知ろう!【初心者向け】
労働基準法は、労働条件の最低基準を定めたものです。
もし、仮に、その最低基準に達しない労働条件を定めた労働契約があったとします。
その場合、最低基準に達しない部分は、「無効」になります。
また、「無効」になった部分は、基準に達するまで、引き上げられることになります。
「契約期間」について
次に、労働基準法の労働契約における「契約期間」について、簡単にご紹介します。
普通の正社員の場合は、特に契約期間を定めることはありません。
しかし、契約社員やアルバイト等の場合は、契約期間を定めますよね。
「とりあえず、3ヵ月間、働いてもらう」
「大学を卒業するまでの1年間、バイトをしてもらう」
といった具合です。
このように、労働契約の期間を定める場合には、ルールがあります。
労働契約の契約期間を定める際には、原則として、「3年以内」に定めなければいけません。
これは、使用者が、労働者を人身拘束し弊害をもたらさないよう、決められた規制です。
しかし、例外もあります。
- 高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者
- 60歳以上の者
これらに当てはまる人は、「使用者による労働者の人身拘束の弊害」が生じにくいということで、
労働契約の契約期間を、「最長で5年間」とすることができます。
「労働条件の明示」について
続いて、「労働条件の明示」について、ご説明します。
使用者は、労働契約を締結するにあたり、
労働者に対して、重要な労働条件をきちんと明示しなければいけません。
当たり前のことですね。
もし、労働者が、労働条件について間違った解釈をしていたら、後々大変なことになりかねません。
皆さんも、入社するにあたり、人事部等から、重要な労働条件についての説明を受けているはずです。
また、この「労働条件の明示」には、2つのパターンがあります。
- 絶対的明示事項 … 必ず明示しなければならない
- 相対的明示事項 … 会社に定めがある場合、明示しなければならない
イメージが湧きやすいように、必ず明示しなければならない「絶対的明示事項」をご紹介します。
なお、明示方法は、「書面の交付」が主ですが、昇給に関する事項については、「口頭」でも可とされています。
絶対的明示事項一覧
- 労働契約の期間に関する事項
- 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項(更新がある場合)
- 就業場所及び従事すべき業務に関する事項
- 始業及び終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
- 賃金(臨時に賃金等は除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切及び支払の時期に関する事項
- 昇給に関する事項
- 退職に関する事項
「退職時の証明」について
続いて、「退職時の証明」について、ご説明します。
退職経験のある方は、ご存知かもしれませんが、
労働者が退職する際、以下の事項に関する証明書を請求した場合、
使用者は、遅滞なくこれを交付しなければいけません。
- 使用期間
- 業務の種類
- その事業における地位
- 賃金
- 退職の事由(退職事由が解雇の場合、その理由を含む)
以上の事項に関する証明書は、労働者の次回の就職を有利にするために、交付されるものです。
そのため、たとえ1~5の事項であっても、労働者が請求していない事項は、記入することが許されません。
「金品の返還」について
続いて、「金品の返還」についての簡単な説明です。
労働者が死亡した、又は退職の場合において、
遺族又は本人から請求があった場合、
使用者は、賃金支払日の前であっても、7日以内に、賃金を支払わなければいけません。
さらに、社内預金や所持品等、労働者の権利に属する金品を変換しなければなりません。
ただし、退職金は、7日以内に支払う必要はなく、所定の支払日に支払えば大丈夫です。
ややこしいですが、頭に入れておきたい内容です。
「解雇制限」について
次に、労働基準法における「解雇制限」について、簡単にご説明します。
使用者側から、労働契約を一方的に解除することを「解雇」と言います。
皆さんも、よくご存じだろうと思いますが、実際に「解雇」に遭遇することは稀ですよね。
しかし、いざ、使用者の思うがままに「解雇」が行われてしまうと、労働者は困ってしまいます。
「え、なんでこのタイミングで?」と言う間もなく、「解雇」されてしまったら、労働者の生活が困難になる可能性は高いですよね?
そこで、労働者の生活が脅かされることになるのが明らかな状況下での「解雇」には、制限があります。
労働者保護が、労働基準法の本来の目的ですからね!
以下の期間は、使用者は、労働者を「解雇」することができません。
- 労働者が、仕事でケガをしたり病気になったりして、その療養のために休業している期間及びその後30日間
- 女性労働者が、産前産後の休業をしている期間及びその後30日間
つまり、「休業期間+その後の30日間」が、解雇制限期間ということになります。
ただし、次のような特殊な場合であれば、解雇制限期間中であっても、使用者は労働者を「解雇」することができます。
- 仕事でケガをしたり病気になったりして、その療養のために3年以上休業している労働者に、1,200日分の日当を支払った場合(いわゆる「打切保証」と言います)
- 事業場が火災により焼失するなどの、やむを得ない事由により、事業の継続が不可能となった場合であり、かつ、その事由について、労働基準監督署長による認定を受けた場合
「解雇予告」について
最後に、「解雇予告」について、ご説明します。
使用者は、労働者を解雇する場合、
少なくとも30日前に、その予告をするか、又は30日分以上の日当に相当する手当を支払わなければいけません。
少なくとも30日前に、解雇の予告をすることを、「解雇予告」と言います。
また、30日分以上の日当に相当する手当のことを、「解雇予告手当」と言います。
「解雇予告」と「解雇予告手当の支払い」は、併用することができます。
例えば、20日分の日当を支払うのであれば、10日前に予告をすればいいことになります。
ただし、以下の場合は、「解雇予告」等の手続きを取らずに、労働者を解雇することができます。
- 事業場が火災により焼失するなどの、やむを得ない事由により、事業の継続が不可能となった場合であり、かつ、その事由について、労働基準監督署長による認定を受けた場合
- 労働者が会社の金品を盗んだなどの、労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合であり、かつ、その事由について、労働基準監督署長の認定を受けた場合
また、以下の「臨時的労働者」に関しても、「解雇予告」等の手続きを取らずに解雇することができます。
- 日々雇い入れられる者
- 2ヵ月以内の期間を定めて使用される者
- 季節的業務に4ヵ月以内の期間を定めて使用される者
- 試の使用期間中の者
ただし、
1に関しては、1ヵ月を超えて、引き続き使用されることになった場合、
2・3に関しては、所定の期間を超えて、引き続き使用されることになった場合、
4に関しては、14日を超えて、引き続き使用されることになった場合、
「解雇予告」等の手続きを取らない限り、解雇が出来なくなります。
まとめ
いかがでしたか?
労働基準法における「労働契約」について、簡単にご説明しました。
もっと詳しく知りたい方や、社労士の勉強をしている方は、
各項目の、さらに細かな内容に触れていってくださいね!
- 労働基準法の「労働契約」に関する、初歩的な知識が欲しい方
- 社会保険労務士に興味がある方
- 社労士試験に向けて、独学で勉強を始める方
当ページが、皆さんの生活や学習の一助になれば幸いです。