当ページは、労働基準法における「賃金」について、簡潔に分かりやすくご説明しています。
- 社会保険労務士に興味がある方
- 社労士試験に向けて、独学で勉強されている方
- 労働基準法における「賃金」に関しての、簡単なチェックがしたい方
ぜひ、参考にしてみてください!
労働基準法における「賃金」とは?
まず、労働基準法における「賃金」とは何か、簡単にご説明します。
労働基準法11条では、以下のように定められています。
「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」
(労働基準法第11条より)
つまり、「賃金」とは、簡単に言えば、以下の2つを満たしたものであるんですね。
- 労働の対償として支払われる
- 使用者から労働者に支払われる
名称の如何は問いません。
「賃金」に該当するかどうかは、すべてその中身で決まります。
これって「賃金」?
では、「賃金」に該当するかどうか分かりにくいものをご紹介していきます。
考えるべきポイントは、以下の2つですね!
- 労働の対償として支払われるかどうか
- 使用者から労働者に支払われるかどうか
「チップ」は「賃金」?
ホテルマンがお客さんから貰うチップを考えましょう。
さて、このチップは賃金でしょうか?
賃金ではありません。
なぜなら、チップは、使用者から労働者に支払われているものではないからです。
お客さんから労働者に支払われています。
しかし、チップが賃金に該当する場合もあります。
それは、使用者がお客さんからチップを一律に集め、労働者に均等分配するような場合です。
(※奉仕料分配金と言います)
この場合、使用者から労働者に支払われているとみなされ、賃金に該当するんですね!
「退職金」は「賃金」?
続いて、退職金です。
退職金は、賃金に該当するでしょうか?
これは、労働協約・就業規則・労働契約などによって、「あらかじめ支給条件が明確なものであるかどうか」で決まります。
支給条件が明確な場合、退職金は、賃金に該当します。
(※「臨時の賃金」に該当します)
支給条件が明確でない場合、退職金は、賃金に該当しません。
「恩恵的給付」というものに該当することになります。
また、この判断の仕方は、退職金だけでなく、以下のものにも当てはまります。
- 退職金
- 結婚祝金
- 死亡弔慰金
- 災害見舞金
- 私傷病見舞金 等
つまり、退職手当や祝金・見舞金は、支給条件が明確な場合、賃金に該当します。
「現物給付」は「賃金」?
現物給付とは、以下のようなものを指します。
- 住宅の貸与
- 食事の供与
- 作業衣・制服の支給
- 作業用品の支給 等
それでは、現物給付は、賃金に該当するでしょうか?
基本的に、現物給付は、賃金には該当しません。
(※例外もあります)
一般的には、福利厚生や企業設備に該当することが多いです。
ちなみに、住宅を貸与する場合、住宅貸与を受けない者に対して、一定額の手当を支給するケースがあります。
(※均衡給与相当額と呼ばれます)
そういった均衡給与相当額は、賃金に該当します。
その他
その他、賃金に該当するかどうか分かりにくいものについて、簡単にご紹介しておきます。
○賃金 → 休業手当(法定超過額を含む)
×賃金 → 休業補償(法定超過額を含む)
○賃金 → 通勤手当(定期乗車券の支給を含む)
×賃金 → 出張旅費・宿泊費・無料乗車券
○賃金 → 税金・社会保険料の補助
×賃金 → 生命保険料の補助、財産形成貯蓄奨励金の支給
○賃金 → スト妥結一時金
×賃金 → 解雇予告手当、労働者持ちの器具の損料
×賃金 → ストックオプション
まとめ
いかがでしたか?
労働基準法における「賃金」について、簡単にご説明しました。
もっと詳しく知りたい方や、社労士の勉強をしている方は、
各項目の、さらに細かな内容に触れていってくださいね!
- 社会保険労務士に興味がある方
- 社労士試験に向けて、独学で勉強されている方
- 労働基準法における「賃金」に関しての、簡単なチェックがしたい方
当ページが、皆さんの生活や学習の一助になれば幸いです。