当ページは、健康保険法における「傷病に関する保険給付」について、とても簡潔に分かりやすく説明しています。
- 健康保険法における「傷病に関する保険給付」についての、初歩的な知識が欲しい方
- 社会保険労務士に興味がある方
- 社労士試験に向けて、独学で勉強を始める方
基本中の基本のことをまとめているので、ぜひ、参考にしてみてください。
「健康保険法」とは?
それでは、まず、「健康保険法」とは何か、簡単にご説明します。
「健康保険法」とは、
被保険者となる労働者や、その被扶養者となる家族が、
労災保険法に規定される業務災害以外の事由によって、ケガをしたり、病気になったり、死亡したりした場合や、または出産した場合に行う保険給付について定めた法律です。
業務災害以外の事故による、当該被保険者・被扶養者が、安定した生活を送れるようにすることを目的としています。
大正11年(1922年)に制定され、昭和2年(1927年)に全面施行されました。
日本で最初の社会保険とも言われており、現在でも、公的医療保険制度の中核をなしています。
「傷病に関する保険給付」とは?
続いて、「傷病に関する保険給付」について、簡単にご説明していきます。
「療養の給付」について
「療養の給付」とは、
被保険者が、病気やケガをした際に、病院等での診療を現物給付するものです。
被保険者は、病院等の窓口で被保険者証を提出し、一部負担金を支払います。
(70歳以上の場合、高齢受給者証も提出)
一部負担の割合は、基本的に、3割です。
ただし、70歳以上で一定以上の所得がない(月収28万円未満程度)の場合は、2割に軽減されます。
(一部の場合、1割に軽減されます)
また、災害等の特別の事情がある場合、減免を受けることもあります。
「入院時食事療養費」について
「入院時食事療養費」とは、
被保険者(特定長期入院被保険者を除く)が入院した際に、病院等での食事を現物給付するものです。
被保険者は、「食事療養標準負担額」を支払います。
「食事療養標準負担額」は、厚生労働大臣が、平均的な家計における食費等を勘案して定める額です。
「入院時生活療養費」について
「入院時生活療養費」とは、
特定長期入院被保険者に対して、病院等での食事と居住環境(温度・照明・給水に関する適切な療養環境)を現物給付するものです。
特定長期入院被保険者は、「生活療養標準負担額」を支払います。
「生活療養標準負担額」は、厚生労働大臣が、平均的な家計における食費や光熱水費等を勘案して定める額です。
「保険外併用療養費」について
「保険外併用療養費」とは、
以下の療養を受けた場合に、現物給付されるものです。
- 評価療養(高度な医療技術を用いた療養等)
- 選定療養(特別な個室の提供等)
- 患者申出療養(患者の申出に基づいた、高度な医療技術を用いた療養)
「療養費」について
健康保険においては、基本的に、診療等は現物給付で受けます。
しかし、被保険者証を持ち合わせていない時に発病するなど、やむを得ない事情のため、現物給付を受けられない場合もあります。
その場合、費用の全額を、いったん窓口負担します。
後日、申請することで、保険給付として受けることができたはずの費用分を、現金で受けることができます。
これを「療養費」といいます。
「家族療養費」について
これまでご説明した、5つの給付は、すべて被保険者に対するものです。
- 療養の給付
- 入院時食事療養費
- 入院時生活療養費
- 保険外併用療養費
- 療養費
被扶養者の場合、上記5つの給付に相当するものは、すべて「家族療養費」として支給されます。
基本的に、被扶養者の一部負担の割合は3割です。
しかし、小学校入学前の場合は、2割負担です。
また、「70歳以上で、一部負担割合が2割に軽減されている被保険者」の「70歳以上の被扶養者」の場合、同様に2割負担となります。
(一部の場合、1割負担)
「訪問看護療養費」について
「訪問看護療養費」とは、
重症患者の被保険者に対して、訪問看護ステーションの看護師等による訪問看護を現物給付するものです。
一部負担の割合は、基本的に、「療養の給付」の場合と同様です。
しかし、交通費やおむつ代の実費等に関しては、保険がきかないので、自己負担する必要があります。
「家族訪問看護療養費」について
被扶養者の場合、「訪問看護療養費」に相当する給付は、「家族訪問看護療養費」として支給されます。
一部負担の割合は、基本的に、「家族療養費」の場合と同様です。
しかし、交通費やおむつ代の実費等に関しては、保険がきかないので、自己負担する必要があります。
「移送費」について
「移送費」とは、
被保険者が、病気やケガで移動が困難であり、一時的・緊急的必要があるため、病院等に移送され、療養を受けた場合に、支給されるものです。
移送に要した実費相当額が、現物給付されます。
「家族移送費」について
被扶養者の場合、「移送費」に相当する給付は、「家族移送費」として支給されます。
支給要件は、「移送費」の場合と同様です。
支給額も、「移送費」の場合と同様に、実費相当額です。
「傷病手当金」について
「傷病手当金」とは、
被保険者が、療養のために仕事ができなくなり、休業する場合、生活手当を現物給付するものです。
支給額は、原則的に、1日につき「(直近12ヵ月間の標準報酬月額の平均額÷30)×2/3」に相当する額です。
ただし、給与を受ける場合は、減額や不支給になる場合もあります。
また、休業の最初の3日間は、待機期間とされ、支給の対象にはなりません。
支給期間は、原則的に、支給開始日から起算して1年6カ月であり、その後は支給されません。
「高額療養費」について
「高額療養費」とは、
被保険者・被扶養者が、同じ月に、原則的に同じ病院等で支払った自己負担額(一部負担金等)が、一定の限度額を超えた場合に、その超えた分を支給するものです。
「高額介護合算療養費」について
「高額介護合算療養費」とは、
被保険者・被扶養者において、健康保険の自己負担額と介護保険の自己負担額の合算額が、一定の限度額を超えた場合に、その超えた分を支給するものです。
まとめ
いかがでしたか?
健康保険法における「傷病に関する保険給付」について、簡単にご説明しました。
もっと詳しく知りたい方や、社労士の勉強をしている方は、
各項目の、さらに細かな内容に触れていってくださいね!
- 健康保険法における「傷病に関する保険給付」についての、初歩的な知識が欲しい方
- 社会保険労務士に興味がある方
- 社労士試験に向けて、独学で勉強を始める方
当ページが、皆さんの生活や学習の一助になれば幸いです。