当ページは、雇用保険法の求職者給付における「基本手当」について、とても簡潔に分かりやすく説明しています。
- 雇用保険法の求職者給付における「基本手当」に関する、初歩的な知識が欲しい方
- 社会保険労務士に興味がある方
- 社労士試験に向けて、独学で勉強を始める方
基本中の基本のことをまとめているので、ぜひ、参考にしてみてください。
「雇用保険法」とは?
まず、「雇用保険法」とは何か、簡単にご説明します。
「雇用保険法」とは、
雇用に関する総合的な機能をもつ保険法です。
主な目的は、労働者が失業してしまったときに、収入が無くなり、生活に困るのを防ぐために給付を行うことです。
また、「雇用の継続」「就職の促進」「事業主への必要な助成」等を行うことで、以下のような機能も有しています。
- 労働者が、常に安定した生活を送れるようにする
- 労働者の失業を、あらかじめ予防する
ちなみに、失業等給付を受ける権利のことを、「受給権」といいます。
また、「受給権」をもつ者(失業等給付の対象者)を、「受給権者」といいます。
「求職者給付」とは?
続いて、雇用保険法における「求職者給付」について、簡単にご説明します。
>雇用保険法における「失業等給付の種類」は?超簡単まとめ【初心者向け】
「求職者給付」とは、
労働者が失業(離職)したときに行われる給付のことです。
基本的に、以下のような種類に分かれます。
- 基本手当(一般被保険者に対する)
- 技能習得手当(一般被保険者に対する)
- 寄宿手当(一般被保険者に対する)
- 傷病手当(一般被保険者に対する)
- 高年齢求職者給付金(高年齢継続被保険者に対する)
- 特例一時金(短期雇用特例被保険者に対する)
- 日雇労働求職者給付金(日雇労働被保険者に対する)
それでは、求職者給付の中の「基本手当」について、もう少し細かくご説明していきます。
「基本手当」とは?
「基本手当」とは、
一般被保険者が離職した場合に支給される、失業している期間の生活手当です。
「受給資格」について
受給資格者は、原則的に、以下に該当する者です。
- 離職した日以前2年間の中で、雇用保険の一般被保険者として会社勤めをしていた期間が、通算して12ヵ月以上
ただし、下記の者に関しては、原則的に、「離職した日以前1年間の中で、雇用保険の一般被保険者として会社勤めをしていた期間が、通算して6カ月以上」あれば受給資格を得られます。
- 特定受給資格者(倒産・解雇等により離職した者で、受給資格をもつもの)
- 特定理由離職者(希望に反して契約更新がなく離職した者、正当な理由のある自己都合で離職した者)
「受給手続」について
基本手当の受給は、以下のような手続きを経なければなりません。
- 公共職業安定所へ、離職票の提出
- 受給資格者証の交付・失業認定日の通知
- 公共職業安定所へ、申告書(受給資格者証とともに)提出(原則4週間に1回)
- 失業の認定・基本手当の支給
①
まず、居住地の公共職業安定所に行き、離職票を提出します。
離職票は、離職時に会社から交付されていなければなりません。
②
離職票を提出すると、公共職業安定所において、「受給資格者証」が交付されます。
さらに、失業の認定日(原則4週間に1回設定される)が通知されます。
③
失業の認定日(原則4週間に1回)に、公共職業安定所に出頭し、「受給資格者証」とともに、所定の申告書を提出します。
④
失業認定日に申告書を提出することで、それまでしっかりと就職活動を行っていたかどうかを、公共職業安定所が確認します。
そして、失業していた(就職していなかった)と認定された各日について、その日数分の基本手当が、一括で支給されます。
つまり、失業認定日に、4週間(28日)分の基本手当を、まとめて受給していくことになります。
しかし、公共職業安定所に初めて出頭してからの7日間は、「待機期間」と呼ばれ、基本手当の支給対象になりません。
よって、失業していたとしても、1回目の基本手当支給は、通常3週間分の支給になります。
基本手当の「日額」について
「基本手当」の日額は、働いていたときの賃金日額の50~80%に相当する額です。
(離職日時点で、60歳以上65歳未満であった者は、賃金日額の45~80%に相当する額)
低賃金者ほど、給付の割合は高くなるように設定されています。
「所定給付日数」について
基本手当には、「所定給付日数」というものが設けられています。
原則的に、この日数を超えて、基本手当が支給されることはありません。
たとえ失業中であっても、ずっと手当がもらえるわけではないんです!
具体的な「所定給付日数」は、一般の受給資格者の場合、勤続年数に応じて、以下のように設定されています。
- 90日(勤続年数10年未満の場合)~150日(勤続年数20年以上の場合)
ただし、例外的に、「所定給付日数」が多めに設定されている場合もあります。
- 90日~330日(特定受給資格者の場合)
- 150日~360日(身体障害者など、就職が困難な受給資格者の場合)
「受給期間」について
基本手当には、「受給期間」というものが定められており、この期間中にのみ、支給を受けることができます。
この期間を過ぎてしまうと、たとえ「所定給付日数」が残っていたとしても、基本手当を受給することができなくなります。
基本手当の「受給期間」は、原則的に、1年です。
ただし、例外的に、受給期間が延長される場合もあります。
例えば、傷病や妊娠・出産などで、引き続き30日以上職業に就くことができない状態になった場合は、最長で4年まで、「受給期間」の延長が可能です。
「給付制限」について
以下のような場合、待機期間の満了後1ヵ月~3ヵ月の範囲で、公共職業安定所長の定める期間について、被保険者に基本手当は支給されません。
- 自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された場合
- 正当な理由がなく、自己都合によって退職した場合
ただし、公共職業安定所で指示された「公共職業訓練等」を受け始めた場合には、上記の給付制限は行われなくなります。
まとめ
いかがでしたか?
雇用保険法の求職者給付における「基本手当」について、簡単にご説明しました。
もっと詳しく知りたい方や、社労士の勉強をしている方は、
各項目の、さらに細かな内容に触れていってくださいね!
- 雇用保険法の求職者給付における「基本手当」に関する、初歩的な知識が欲しい方
- 社会保険労務士に興味がある方
- 社労士試験に向けて、独学で勉強を始める方
当ページが、皆さんの生活や学習の一助になれば幸いです。