当ページは、労働基準法第12条における「平均賃金」について、簡潔に分かりやすくご説明しています。
- 社会保険労務士に興味がある方
- 社労士試験に向けて、独学で勉強されている方
- 労働基準法における「平均賃金」に関しての、簡単なチェックがしたい方
ぜひ、参考にしてみてください!
労働基準法における「平均賃金」とは?
労働基準法12条では、以下のように定められています。
「この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3ヵ月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。」
(労働基準法第12条第1項より)
「前項の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。」
(労働基準法第12条第2項より)
「平均賃金を算定すべき事由が発生する日」とは、具体的に、以下の通りです。
- 解雇予告手当の場合 → 解雇通告日
- 休業手当の場合 → 休業日(休業が2日間以上の場合、最初の日)
- 年次有給休暇中の賃金の場合 → 年次有給休暇を与えた日(2日間以上の場合は、最初の日)
- 災害補償の場合 → 事故発生の日or診断により疾病の発生が確定した日
- 減給制裁の場合 → 減給制裁の意思表示が相手方に到達した日
また、「算定すべき事由の発生した日“以前”」となっていますが、実際には、「算定すべき事由の発生した日」は含めないことになっています。
つまり、「算定すべき事由の発生した日」の前日からの3ヵ月間で算定します。
しかし、通常は、「賃金締切日」がありますね。
よって、基本的に、平均賃金は、「算定事由発生日の直前の賃金締切日」から起算され、計算されます。
以上を踏まえると、平均賃金の計算式は、以下のようになります。
ちなみに、雇い入れてから3ヵ月を経過していない者の場合は、「雇い入れ後の期間」で計算します。
ただし、原則的に、賃金締切日があれば、直前の賃金締切日から起算します。
「賃金の総額」に算入しないものは?
労働基準法12条4項では、以下のように定められています。
「第1項の賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び3ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しない。」
(労働基準法第12条第4項より)
つまり、以下のものは、「賃金の総額」には算入しません。
- 臨時に支払われた賃金
- 3ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金
- 通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの
「臨時に支払われた賃金」とは、臨時的・突発的事由に基づいて支払われたものをいいます。
また、結婚手当のような、あらかじめ支給要件は確定しているが、発生が不確定で稀なものも含まれます。
「3ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金」とは、年3回以内の賞与等をいいます。
「通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの」とは、法令や労働協約に別段の定めがないにも関わらず支払われた現物給与をいいます。
要は、違法賃金です。
「算定期間」「賃金の総額」から控除するものは?
労働基準法12条3項では、以下のように定められています。
「前二項に規定する期間中(平均賃金の算定期間中)に、次の各号のいずれかに該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、前二項の期間(平均賃金の算定期間)及び賃金の総額から控除する。」
- 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
- 産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間
- 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第1号に規定する育児休業又は同条第2号に規定する介護休業をした期間
- 試みの使用期間
(労働基準法第12条第3項より)
分かりやすく言うと、以下4つの「休業期間」と「試みの使用期間」における日数及びその期間中の賃金は、「平均賃金の算定期間」及び「賃金の総額」から控除されます。
- 業務上疾病の療養のための休業期間
- 産前産後の休業期間
- 使用者責任による休業期間
- 育児・介護のための休業期間
まとめ
いかがでしたか?
労働基準法第12条における「平均賃金」について、簡単にご説明しました。
もっと詳しく知りたい方や、社労士の勉強をしている方は、各項目のさらに細かな内容に触れていってくださいね!
- 社会保険労務士に興味がある方
- 社労士試験に向けて、独学で勉強されている方
- 労働基準法における「平均賃金」に関しての、簡単なチェックがしたい方
当ページが、皆さんの生活や学習の一助になれば幸いです。